21世紀 適々斎塾 家庭医療セミナーで講演させていただきました。
21世紀 適々斎塾という歴史ある勉強会で講演させていただけることになりました。
テーマはMultimorbidityです。なんだかこればかりで申し訳なくなっています。
21世紀適々斎塾の説明は塾長の中西重清先生のコメントを御覧ください。
「個人で行う勉強会」、「製薬会社の後援する勉強会」、「単発ないしは数回の勉強会」ではない、複数の開業医自身が主体となって万年研修医の気持ちをもつ医師とともに総合内科・家庭医療に理解のある先生方の指導を受けながら、若手医師、研修医、医学生たちと刺激しあって勉強する継続性のあるセミナーを目指しています
素晴らしい理念の勉強会だと思います。
家庭医療だけでなく,様々な診療科の勉強の勉強ができます。
医学生さんにも広く開かれていて,生涯学習ができる場を提供されています。
興味のある方はぜひご参加ください。
今回の家庭医療編ともいえる勉強会は
2021年8月 Vol.103 No.8
21世紀適々斎塾流!
いつもの診療にプラスする家庭医療実践
に掲載されている内容
地域志向のプライマリ・ケア 横田雄也,他
家族志向のケア 藤谷直明
フレイルな高齢者のケア 西村正大
患者中心の医療の方法 松井善典
multimorbidityの診療 大浦 誠
BPSモデル 森川 暢
慢性臓器障害の診療 佐藤健太
複雑度の高い患者のケア 朝倉健太郎,他
明日から実践できる行動変容 玉井友里子
健康増進と疾病予防 内山直樹
多職種連携 中山明子
EBMの実践 矢吹 拓
家庭医療とクリニック開業・運営の実践 小林正宜
家庭医が運営するグループプラクティス診療所の未来 大橋博樹
救急医療と家庭医療 徳田嘉仁
この順番でレクチャーが行われているようです。
(まだ順次レクチャーされるようなので,お楽しみに)
私のブログと言えば,発表スライドをブログに埋め込んで発表時に公開するというスタイルだったと思いますが,今回は症例ベースということであまり載せられません。申し訳ありません。
分かる人には分かるように紹介すると
こんな流れとなっております。
気がつけば20回も連載している「ケースで学ぶマルチモビディティ」からの引用です。
Multimorbidityの見かたというタイトルでこれまでも原稿を書いたり,講演をしたりしていますが,体系的に誰かに教えてもらったものではなく,そもそもそういう教科書がないのが現状です。連載をはじめるにあたり,ここに大変苦労しました。
海外の教科書ではABC of Multimorbidityや
Case Studies in Geriatric Primary Care & Multimorbidity Management
の2冊が手に入りやすいため,連載のイメージを固めるために読破しました。
ところがどちらも体系だったものとは言えず,理論やこれまでの背景を紹介したABC of Multimorbidity,と老年医学のケーススタディのCase Studies in Geriatric Primary Care & Multimorbidity Managementという感じでした。
老年医学の本ですが,後者の本はよくできていて
症例がプライマリケアから急性期ケア,入院患者のリハビリテーション,生活支援,長期ケアへと流動的に移行されています。基本的な入門章から始まり,専門家間のコラボレーションスキルを活用しながら年齢(老若男女),性別,文化,民族性,セクシュアリティ,社会経済的地位の観点から,今日の高齢者の多様性を反映されています。臨床推論スキルや,臓器別専門医とのコラボについても良い仕掛けがありました。
Multimorbidityはプライマリケア医が多く遭遇し,特定の臓器の専門を持たないからこそのバランスの良い見かたや,多職種とのコラボレーションが重要です。自分の専門である家庭医療とうまく組み合わせると最高なのではないかと思い,この連載でスムーズに家庭医療の視点を組み込んでみました。
最近は,所属する病院で「マルチモビディティカンファレンス(マルモカンファレンス)」を開催し,臨床推論×家庭医療のコラボレーションで症例を深めてみました。臨床推論を磨きながら,家庭医療のアプローチをすることで,限界を理解した上でのアプローチができると考えています。
この勉強会をもう少しオンラインで深めたいと考えています。
適々斎塾レクチャーでちらっと紹介できればと思いますが,どうなることやら…。
(発表終了)
時間丁度に終わったと思ったら,休憩時間などを考慮せず夢中で喋ってしまいました。
まさに2時間ぶっつづけレクチャーで,きっと聴衆は困惑されたと思います。
わざわざ時間配分までメモして,事前に適々斎塾の他の演者の方の動画を見ていたのですが,休憩時間を編集でカットされていたことに気づきませんでした。おっちょこちょいです。
一方で発表の内容は徐々に実践型になってきて,型ができている気がしました。
マルモのトライアングルというツールが生物医学的アプローチと心理社会的アプローチをちょうどよく混ぜるような実践型のツールであることが,伝わったのではないかと思います。
感想は殆どの方が4ないし5をつけてくださったので,概ね満足していただけました。
この結果自体は,それほど珍しくないのですが,半数以上(13/21)が医師年数30年目以上のベテランの先生方だったことに衝撃を受けました。カメラONにしていたら,アウェー感を感じていたことでしょう。プライマリ・ケアの大ベテランの先生にも2時間レクチャーで楽しんでいただけたのは大きな自信となりました。
以下,自由記載コメントの抜粋です。