患者はかかりつけの医師に対しての経験を高く評価し、5人中4人がGPが「ケアと関心(care and concern)」で治療しており、ニーズに耳を傾ける十分な時間を与えていると答えています。
さらに、10人中9人の患者がケアに関する決定に関与していると感じ、10人中7人がGPの予約を行った全体的な経験を「良い」と評価しました。
NHSのディレクターであるNikita Kanani医師は次のように述べています。「イギリスの家庭医は毎日100万人近くの人々を診察します。この調査では家庭医は薬剤師や看護師のように患者のそばにいてくれる素晴らしい仕事であるということが分かります。しかし、GPは引き続きプレッシャーと需要の増加に直面しており、10人中7人の患者が提供された予約に満足している一方で、一部の患者はGPを望んでいたよりも長く待っていました。」
今年はGPのNHSレビューが行われます。
GPへのアクセスの新しい調査が今年イギリス全土で行われ、事前予約可能および当日のGPへの予約の改善、対面式およびオンライン相談に関する患者のフィードバックのレビュー、患者のための適切なケアへの幅広い選択肢とアクセスの提供が検討されます。
2021年からすべての患者はビデオ相談を通じてGPにアクセスする新しい権利が与えられます。増加する患者はオンラインで予約されており、15%がGPウェブサイトを使用して予約を取り、前年より2%増加しています。この上昇は、サービスの認知度の高まりとともにもたらされ、44%がオンラインで予約できることを知っており、3%増加しています。
Kanani医師は次のように述べています。「現在、プライマリケアとコミュニティケアに記録的な資金を投入しています。ケアの改善を促進するために、2023〜24年までに45億ポンドの追加投資を行います。」この追加投資により、今後5年間で一般診療をサポートするために医療専門家を募集する道が開かれます。
プライマリケアサービスに対する全体的な満足度が低下しました
診療から受けたサービスに対する患者の全体的な満足度はわずかに低下しましたが、調査では、NHSが英国全体で夕方および週末のGPへの予約を完全に展開する前の期間を対象としています。これらのサービスは現在、年間900万件以上の予約を患者にとってより便利な時間に提供しており、調査では、患者は従来の時間外の予約時間の利用可能性をより認識しています。
今日の調査結果は、Primary Care Networksがイギリス全土で正式に開始されてからわずか10日後に行われ、GPプラクティスは大小を問わずお互いをサポートし、患者により近いサービスを提供します。そしてこれは、さらに何千人ものかかりつけの医師を募集し、維持し、訓練するというコミットメントの上にあります。
2019年のGP患者調査は、GPへのアクセス、予約、GPおよびその他の医療専門家から受けたケアの質、待ち時間、開業への満足や営業時間外のNHSサービスなど、GPプラクティスによって提供されるサービスの経験に関する全国の770,512人からの回答をまとめたものです。
調査の他の主要な調査結果は次のとおりです。
- 82.9%は、GP診療への経験が良いと答えました。
- 患者の67.4%が、予約についての経験を良いと評価しました。
- 同じ日の予約を希望した人のうち、62.1%が予約を取ることができました。
- かかりつけのGPを持っている人の約半数(48%)は、頻繁に会ったり話したりします。
- 73.6%は提供された予約に満足していました。
- GP診療所のWebサイトを使用しようとした患者の77%が、情報やサービスに簡単にアクセスできると感じました。
- 69.5%は、予約時間に続いて15分以内に表示されるまで待機しました。
- 10人の患者のうちほぼ7人(69,5%)が、GPに診てもらいたいと思ったがGPの診療が終了したときに、NHSサービスに対してよい経験をうけたと報告しました。
- 患者の91.1%は、GPの診療が終了したときに、診察してもらった医療職に対して自信と信頼を持っていました。
以上、英国のプライマリケアの満足度調査でした。
ちなみに日本ではどうなのでしょうか?(脱線)
- 受診の際、かかりつけ医など決まった医師の受診を最初に望む人は69.9%で7割を占めた。かかりつけ医を持つ国民は全体の53.7%であった。
- かかりつけ医に対して多くの国民が、専門医への紹介、幅広い診療、健康管理を望み、高齢者は在宅医療や看取りへの要望も高かった。また、かかりつけ医を探すために、診療に関わる情報が求められていた。
- 「医師の説明」は受けた医療の満足度に最も大きく影響していた。
資料のスライドを紹介します。
案外、かかりつけ医に受診していると思われるでしょうが、かかりつけ医の定義があいまいです。患者さんへのアンケートなので、患者さんがかかりつけの医師だと思っていても、医師側はそう思っていないこともあるかもしれません。ではどのような医師なのでしょうか。
現在かかっている病気を診てもらっている医師も、かかりつけ医ですし
何か病気になったときに相談できる医師も半数いるようです。
それでは国民はかかりつけ医に何を求めているのでしょうか?
おおむねGPの仕事のイメージと同じだと考えてよいかもしれません。
高齢者のニーズで「訪問診療」「看取り」があるようです。
かかりつけの医師には在宅医療も求められているのかもしれません。
かかりつけ医のいる患者の満足度や健康への意識の高さがうかがえます。
(因果関係があるかどうかは分かりません。あくまで相関がありそう。)
かかりつけ医を探すときに参考になるのが「医師の診療方針や医療への考え方」と考えている患者さんが多いようです。どんな考え方の医者なのかをあらかじめ伝える(あるいは感じてもらう)というのは、重要なポイントですね。
また、休日対応を希望されているというのも休みの時に診てもらえないのは不安なのでしょうね。グループ診療でいつでも対応できる仕組みが一つの解決法であるとしています。
かかりつけ医への満足度に影響を与えている項目が、説明がどうなされていたのかと、待ち時間です。特に医師の説明が大きく影響を与えていることが分かります。
結局、英国のGPへの国民の満足度は高く、日本でも同様の調査はなされていることが分かります。この流れを受けて2016年4月よりかかりつけ医機能の充実・強化を目指し「日医かかりつけ医機能研修制度」が開始されていますが、HPによると
平成29年度からは、新たな専門医制度として総合診療専門医の養成が開始されますが、総合診療専門医はあくまで学問的な位置づけであり、将来、総合診療専門医の資格を持った医師も、地域医療を実践する際には本研修制度を受講して頂きたいと考えています。このようなことから、本研修制度の受講対象となる医師は、地域住民のかかりつけ医となる全ての医師と考えており、診療科や主たる診療の場は問いません。
http://www.med.or.jp/nichiionline/article/004204.html
とあります。
平たく言うと
総合診療専門医なのに、かかりつけ医の研修を受けないといけない
かかりつけ医には、何科でもなれる。
という事になります。
かかりつけ医としての機能を高める仕組みはわかるのですが、総合診療専門医がその資格がなかったら、何のための専門医なのかわかりません。
百歩譲って受けることは生涯学習としてはよろしいでしょうが、総合診療の専門医なのですから、受けなくてもよいような質の高い育成をしていただきたいものです。
いつの間にか、雑談が長くなってしまいました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。