日本版(南砺版)ホスピタリストについて考える
写真:これはHANDS-FDFという人財育成のフェローシップコースである。今回は、キャリア形成についてであるが、私の最大の転帰はここであったと言えるため本文中で紹介する。
ところで、このブログはニッチな領域を狙って家庭医療の勉強になる論文に特化したブログになるはずが、最近の注目のされ方にいささか戸惑っている。アクセス数が普段の5倍である。おそらく色々とシェアしてくださっているに違いない。ありがたいことだ。そしてブログ開始し連続30記事を達成した。1か月毎日ブログを、しかもまぁまぁ濃厚なやつを書いていたので、よく頑張ったと思う。
このテーマになってから、Facebook上で家庭医療や総合内科の著名な先生方がご意見をくださるようになり、このブログをきれいにまとめたら立派な考察になりそうである。もし私のFacebookから来られている方がいれば、過去のコメント欄を見ていただけると濃厚なディスカッションが繰り広げられているので、見ていただきたい。
これまでのあらすじ
これまでも数回にわたり、私が普段しているホスピタリスト(病院総合医)に関わるお話をさせてもらっている。この話を何故することになったのかというと、最近総合診療界隈で、病院総合医というもののキャリアパスに対する動きがあり、私も後輩にキャリアを提示するうえで「自分が何をしているのか、どうありたいのか、なぜこのブログのタイトルが病院”家庭医”なのか。」を明確にする必要があると感じたからである。徐々に明らかになっていると思うが、家庭医療のエッセンスも勉強になるように書いているので温かく見守っていただければ幸いである。
南砺版ホスピタリストに関する考察
①普通の医者とは何か(学習者のニーズ)
②地域に役立つとは何か(患者や地域のニーズ)
③アベンジャーズスタイルだけでは問題があるのか(病院家庭医の必要性)
④地域の小規模病院(コミュニティーホスピタルともいいます)をみる日本版ホスピタリストには何が求められているのか(諸外国のホスピタリストとの役割の違い)
⑤ホスピタリストのキャリアパスについて(キャリア理論について)
⑥領域別専門医からみた病院家庭医に足りないところ、病院家庭医と領域別専門医とは今後どう協力していくのか(今後の課題)
これまでは富山の田舎の病院が総合診療に力を入れるようになった歴史についてお話しした。総合診療について情報が乏しかった医学生時代から小規模病院で家庭医療が役に立つと信じて進んできた私の今までのキャリアを説明した記事になっている。
そして、実際に当院の目指す普通の医者になるためには、高い目的とそれにフィットする適切な方略、そして質を担保できるような内省的かつ多面的な評価が必要であることを紹介してみた。
ここから地域に役立つとは何か(患者や地域のニーズ)について、ACCCAを軸にしつつも地域のニーズをとらえて自身の形態を変えるスキルと、その共通言語をもち「とりあえず診る」姿勢を持った家庭医が診療所や他診療科とのハブとなる機能を発揮するために病院にも必要であるという話をした。
そして、総合内科医と家庭医の違いは、複雑性へのアプローチや多職種連携などへの興味や教育に対するウエートの違いではないかと論考した。
日本版ホスピタリストの中でも地域密着型中小病院(コミュニティーホスピタル)における病院総合医に必要な人材を育成するには、病院家庭医タイプと総合内科医タイプの指導医がいるところでそれぞれの持ち味をオーバーラップさせながら、相互的な教育をして、学習者は自分の診療のスタンスがどちらなのか傾向をつかみ、足りないものを補っていき強みを伸ばしていく、そして地域のニーズに合わせて各病院がこの2タイプの教育の配分を考えていく(あるいは人材交流していく)スタイルが良いという話をさせていただいた。(余談にトラバター的文化交流とパワプロ的評価にも触れた)
今回は
⑤ホスピタリストのキャリアパスについて(キャリア理論について)論じる
ホスピタリストのキャリアと聞くと、これまでの流れだと
①総合内科をローテーションして、病院でキャリアを積む
②家庭医療を勉強して、病院家庭医としてキャリアを積む
があるが、2つを明確に分ける必要はなく
総合内科:家庭医療を9:1~6:4ぐらいで保てるようなキャリアが良いだろう
という話を前回させていただいた。
では、そんな教育は具体的にどうやったら身につくのだろうか。
どうやって勉強していけばよいのだろうか。
今回は私の結論から話したい。
①病院内にアベンジャーズと総合内科と家庭医療の教育カンファレンスができる環境を作る。難しければ家庭医診療所と連携し病院総合医の合同カンファレンスも可能。病院と診療所を行ったり来たりできるような教育体制を作れると理想(これを病院総合医研修のプログラム評価基準にする)
②個人で病院総合医領域のポートフォリオを作成して自分の足りないところを可視化する(資格取得後も生涯学習できる仕組み)
③スタッフの多様性を重視する(時短勤務・女性医師・アベンジャーズからの転向)
④病院総合医のスペシャルインタレストグループを作る(FDなど)
なぜこの4つなのかは私が今のキャリアをどう形成していたのかという話を読んでいただけると分かる。(その1のつづき)
私の初期研修最初の指導医は呼吸器内科医だった。
もちろんアベンジャーズ的な呼吸器内科医である。
その後もアベンジャーズ的な血液内科医に指導をうけて消化器内科医や腎臓内科医からも教わっていた。
これは総合内科ローテーションとほとんど同じキャリアであるが、少し違う。
呼吸器チームや血液内科チームではないので総合内科的な診断困難な症例も一緒に見ることになるし、足りない診療科の疾患は非常勤医師と一緒に見ることになる。(当院は循環器内科・神経内科・膠原病内科がいない)
足りない診療科があるというのは、専攻医にとってはチャンスでもある。
診療科がチームで揃っているとそのチームに入らなければ疾患を経験できないが、専門医が診るべきか否かの判断はアベンジャーズと一緒に判断できるので、ファーストタッチには関われるのである。
大規模病院だとでは診療科が揃っているので、疾患のすみわけが難しい。
総合内科がうまく機能していれば病棟診療が上手く配分されるだろうが、例えば心不全や脳梗塞の病棟管理を全くする機会がないまま研修を終えてしまう病院もあるかもしれない。救急で引いた疾患をそのまま主治医になることもあれば、内科部長の判断で教育的に配分することもある。(経験症例の配分と難易度のステップアップの配慮があり、受け持ち症例が増えすぎないように配慮もされていた。)
即ち、特定のチームにいると疾患が偏るが、コモンな疾患がコモンな頻度でやってくるので、感覚が鈍らずに済むのである。これを10年続ければ、よほどレアな疾患でない限り市中病院でのコモンディジーズは経験しているはずである。
もちろん専門家がいないので必要であれば高次機能病院に転院されるし、高度な技術は身につかない。病院総合医に必要なものであれば、その修行が必要だと思えば学びに行く姿勢が大事である。診療科が増えたり減ったりするのはどこの病院でも珍しい話ではないので、学ぶ機会は時代の流れと地域のニーズで決まっていくのかもしれない。
ここまでは古き良き時代のアベンジャーズ教育であった。
そこに、たまに家庭医が家庭医療の理論を教えてくれるのである。
(院内の家庭医も教えてくれるが、特に週1コマ来ていた診療所の家庭医が熱心に指導をしてくださり、月1回勉強会を開いてくれた。)
どんなことを教えるのかは、今後このブログで紹介していくとして
枠組みは家庭医療専門医に必要な項目を見ていただくことにする
https://www.primary-care.or.jp/nintei_fp/pdf/portfolio2019.pdf
1.家庭医療専門医を特徴づける能力
(ア) 患者中心・家族志向の医療を提供する能力
① BPS モデル:bio-psycho-social model を用いて問題解決を試みた症例
② 家族志向型ケア:家族カンファレンス、もしくは家族が問題を解決するために援助をおこなった症例
(イ) 包括的で継続的、かつ効率的な医療を提供する能力
① 統合型ケア:複数の健康問題を抱える患者に統合されたケアを実践した症例
② 行動変容:行動変容のアプローチを用い、患者教育をおこなった症例
(ウ) 地域・コミュニティーをケアする能力
① 地域健康増進:地域における疾病の予防やヘルスプロモーションに関する活動
2.全ての医師が備える能力
(ア) 診療に関する一般的な能力と患者とのコミュニケーション
① EBM:EBM に基づいた意志決定を日常の診療に応用するために取り入れたシステムや工夫の事例
② コミュニケーション:患者や家族とのラポール形成やコミュニケーションに困難があったにもかかわらず、問題を解決して良好なコミュニケーションをとるに至った症例
(イ) プロフェッショナリズム
① プロフェッショナリズム:医師としてのプロフェッショナリズム(誠実さ、説明責任、倫理など)を意識しながら問題解決に取り組んだ症例
② 生涯学習:生涯学習に取り組む上で有効な取り組みや工夫の事例(学習スタイル,タイムマネジメント、IT など)
(ウ) 組織・制度・運営に関する能力
① 施設管理・運営:研修施設の管理/運営に関して、業務の改善に貢献した事例
② チーム・ネットワーク:研修施設内外のスタッフとの良好なチームワークやネットワークの構築促進に貢献した事例
3.教育/研究
(ア) 教育
① 学生・研修医に対する 1 対 1 の教育,もしくは,教育セッションの企画運営に取り組んだ事例
(イ) 研究
① 研修期間中に取り組んだ臨床研究の事例
4.家庭医療専門医が持つ医学的な知識と技術
(ア) 個人への健康増進と疾病予防
(イ) 幼小児・思春期のケア
(ウ) 高齢者のケア
(エ) 終末期のケア
(オ) 女性・男性・性の多様性に関する健康問題
(カ) リハビリテーション
(キ) メンタルヘルス
(ク) 救急医療
(ケ) 臓器別の健康問題
これが私の受けてよかった教育の一つである。
①病院内にアベンジャーズと総合内科と家庭医療の教育カンファレンスができる環境を作る。難しければ家庭医診療所と連携し病院総合医の合同カンファレンスも可能。病院と診療所を行ったり来たりできるような教育体制を作れると理想(これを病院総合医研修のプログラム評価基準にする)
これは総合内科と家庭医療のバランスの良い教育をずっと受けているようなイメージである。人材が足りないことももちろんあるに違いない。足りないものは周囲の病院や診療所との連携を取り人的交流をしたり、インターネットでカンファレンスに加わるなどの工夫もあるかもしれない。診療科のバランスが偏っている病院もあるかもしれないが、それは病院のカラーでもある。その強みも活かして、足りないところを補う仕組みがあれば理想的である。総合内科に診療推論カンファレンスがあるのと同様に、家庭医療にも家庭医療カンファレンスというものがある。そこには領域別専門医も参加していただく事もあるため、様々な意見をいただけている。診療所に1年~3か月ぐらいのスパンで行き来できるような仕組みもあると、多様な価値観を共有できて良いのかもしれない。
そんなまだら的な教育体制を受ければ、自己評価が必要になってくるだろう。そこでポートフォリオというものを用いる評価方法を推奨する。そこで、これである。
②個人で病院総合医領域のポートフォリオを作成して自分の足りないところを可視化する(資格取得後も生涯学習できる仕組み)
資産運用をされている方は、こういうのをイメージされたであろう。
資産の配分を可視化するものである。(※ちなみにこれは私の持ち株ではない)
建築家やデザイナーは、このようなものをイメージされたであろう。
自分の作品をまとめたものである
これは、 下のブログに紹介されていた優秀なportfolioである。
教育分野に関わる方は
のように小中学校から自身の教育内容を書き留める教育も始まっている。
このようにポートフォリオのイメージは、金融・教育・芸術の3つの領域で使われる
写真は
ここからの引用である。興味のある方はご参照いただければ幸いである。
では病院総合医は何を綴っていくのかというと、先ほどの
https://www.primary-care.or.jp/nintei_fp/pdf/portfolio2019.pdf
これである。
資産家は自分の資産がどのように配分されているかを把握することができ、病院総合医は自分がどこが足りないのかを可視化できるのである。もちろん総合内科との臨床推論や症例ディスカッションも、症例報告の論文も商業誌の原稿もポートフォリオになる。そして症例報告でまとめた同じ症例を症例報告とは違った視点で自身の成長を書き留めていく作業も、また重要である。(私はこれをネタの使いまわしと言っている)
10年間同じ環境で教育を受けたりしたりしていると、ちょうどこのぐらいの年代は「次どうしようか」と悩む時期ではないか。結婚して、家族が増え、育児もあり、あまり引っ越しばかりしていられない。そんな時期である。
そんな時に、過去のポートフォリオは、そのまま自分の履歴書にもなる。
英語では履歴書の事をCVと言い、ラテン語のCurriculum Vitaeの略語で英語になおすと”course of life”つまり”人生の道筋”という意味である。
CVは海外留学に用いられ、自身の住所などのプライベートな情報からこれまでの教育歴、資格、職歴、所属学会、受賞歴、専門領域、研究歴、論文・執筆、などを記載する。そのフォーマットはちまちま作っていくと、名刺代わりになる。Webページ上で公開している医師もいるので、興味のある方は探してみるとよい。そこに過去のポートフォリオをe-ポートフォリオとして残したりしているところもあるようだ。
さて、履歴書から話を勧めるが、皆様の職場にスタッフの多様性はあるだろうか
職場を探す、スタッフを増員する際に、この視点も重要である。
③スタッフの多様性を重視する(時短勤務・女性医師・アベンジャーズからの転向)
分かりやすいところから行くと女性医師のキャリア支援や生活との両立などを希望する時短勤務・フリーランス医師などの多様性を受け入れることなどが挙げられるだろう。
多様なバックグラウンドを持った、多様な業務形態の医師が、病院総合医研修にも必要と考える。
時短勤務の医師や女性医師がいると、職場に様々な価値が生まれる。
産休・育休・長期休暇の取得は分かりやすい例である。
取得しやすい環境は、職場がワーク・ライフ・バランスを考えるきっかけになる。
脱線になるが、重要な点として、これはワークとライフのバランスではない。
なぜなら生活と仕事は、相反するものではないからである。
生活が充実すると仕事もはかどる、仕事が短時間でうまくいけば私生活も潤う
つまり生活と仕事の相乗効果が本来の目的なのである。
医師の中には、どちらかを犠牲にしなければならないと考える方もいるだろう。これは悪循環である。仕事で疲弊すると、生活を楽しむ余裕がなくなり、その結果、仕事の質も低下するのである。
なので、よくある誤解を続けると
仕事とプライベートをしっかり分ける(〇割であるべき)
というのもおかしい。バランスと言っても黄金比を見つけるわけではない。
一方を増やすともう一方が減るというわけではないのだ。
私のこのブログは、ワークであり、ライフである。
今抱えている仕事が病院総合医プログラムのカリキュラム作成が進まなくて困っていたので、気分転換にブログで頭を整理したつもりだったが、その結果、今の仕事は捗ることになる。だからといって、家事や育児で迷惑はかけられないので、深夜にこっそり更新するのである。仕事のめどが立つと、その分家族と過ごす時間も確保できるので、ブログを利用してタイムマネジメントができている感じである。
(まだ原稿の仕事が溜まっているのだが、1日1万文字書くのに慣れてしまうと何でも書ける気がしてしまうのもブログの効能だろうか。)
話を少し戻すと、ワーク・ライフ・バランスに含まれる2つの軸がある
・ファミリーフレンドリー(両立支援)
・男女均等推進
である。
ファミリフレンドリーとは働きながら育児や介護をする環境を整えることであり
男女均等推進とは、男女の能力を発揮する機会や処遇や評価を差別しないということである。重要なのは制度よりも文化であると言われている。
このメリットは多いが、考え付くだけでも
・女性医師の定着
・優秀な人材が獲得できる
・スタッフのモチベーションがあがる
・効率性も上がる
・職場のイメージUP
などあるだろう。理由を語るのは別項にして、とにかく一度いい循環を回してしまえば、必ずプラスになるはずである。そのためには多様な勤務形態(時短勤務やフレックスタイム、テレワーク)を導入することになるだろう。そこで戻ると、スタッフの多様性を重視する(時短勤務・女性医師)事になるわけである。
実は先ほど、女性医師の隣に(アベンジャーズからの転向)と書いたのが、正確には他科からの総合診療の転向の受け入れをするというのも、リクルートの幅を広げることになるし、新しい価値観が生まれることになる。この点はもはや説明不要だろう。
最後は、私の夢物語である。
④病院総合医のスペシャルインタレストグループを作る(FDなど)
私の現在のキャリアを考えるきっかけとなったのが
HANDS-FDFhandsfdf.wordpress.com
という人財育成(ここだけあえて人材ではなく人財と表現した)のフェローシップコースである。プログラムディレクターは前回トラバターのお話でも出てきた、亀田ファミリークリニック館山の岡田唯男先生である。
ここで学んだ事は、現在のキャリア形成にも生きているし、医学教育にも組織運営にも生かされている。病院で仕事だけをしていると、多様なキャリアの人と共に人材育成の勉強をする機会には恵まれない。このような領域は他にもあるだろう。
MBAもそうだろう、サブスペシャリティー(在宅医療・緩和医療・感染症・スポーツ医学・産婦人科・小児科・集中治療)を勉強したい人もいるだろう、漢方や精神医学を学びたい人もいるに違いない。将来開業したい人もいるかもしれない。もはや総合診療医が多様なバックグラウンド過ぎて、ニーズの多様化にキャリアパスが追い付いていないのである。
総合診療医の弱点といわれるものに網羅的に学ぶと言っても体系だったものがなく、まだら状の知識になりがちな事がある。いつまでも広い勉強の範囲があり、中途半端と揶揄されるのである。だが、常に学ぶことでいっぱいである。生涯学習スキルを磨いて自己研鑽をするという方法もあるが、ここで先ほどのフェローシップである。
学びたい人のニーズがあればそれをコース化すればいい。
T&Aコース(小児やマイナーエマージェンシー)やPOCUSのコースもそうだろう。
臨床推論の勉強会も全国各地に散らばっている。
北陸では先述したHANDS-FDFの暖簾分けもさせていただいており。九州地方や中国地方でも既に立ち上がっている。
病院総合医がこういうものを学びたいというニーズから様々な学びの場がデザインされるようになれば、将来的には多様なプログラムが充実してくるに違いない。AIやプログラミングを勉強したい医師も出てくるだろう。今は想像もできない新しいジャンルを勉強したい医師も現れるであろう。教育は現場から生まれるのだ。
以上が私の考える、病院総合医のキャリアパスに必要な4項目である。
①病院内にアベンジャーズと総合内科と家庭医療の教育カンファレンスができる環境を作る。難しければ家庭医診療所と連携し病院総合医の合同カンファレンスも可能。病院が教育体制を作れると理想(これを病院総合医研修のプログラム評価基準にする)
②個人で病院総合医領域のポートフォリオを作成して自分の足りないところを可視化する(資格取得後も生涯学習できる仕組み)
③スタッフの多様性を重視する(時短勤務・女性医師・アベンジャーズからの転向)
④病院総合医のスペシャルインタレストグループを作る(FDなど)
とはいえ、他の総合診療医も悩むことがあるかもしれないが、偏った知識がゆえに今の勤務地でしか仕事ができないのではないかと悩むことがある。おそらくこんな田舎ではスポーツ医学、ウィメンズヘルス、小児の機会にも乏しい。疾患もおそらく偏っているのだろう。
ただ、総合診療医の強みは多様な場に合わせられる能力なので、それは環境が変わるとアメーバのように(あるいはカメレオンのように)形態を変えて、若い医師や先輩医師に教わりながら学び直すことで新たな職場でもきっと役にたてることだろう。
じつはこの話もブログを読んでくださったベテラン医師からの助言である。
様々なキャリアや背景を持つ医師とSNSで繋がれる関係というのも何よりも代えがたい、今の時代に適切なweak tie(弱い紐帯の強さ)なのかもしれない。
余談にするにはもったいないので、別日にするが
実はここからキャリア理論の理論編を紹介しようとしていたが、既に文字数9500字である。ここからさらに10000字とか誰も得しないと思うので、これはまた日を改めて。
まとめ
①病院内にアベンジャーズと総合内科と家庭医療の教育カンファレンスができる環境を作る。難しければ家庭医診療所と連携し病院総合医の合同カンファレンスも可能。病院と診療所を行ったり来たりできるような教育体制を作れると理想(これを病院総合医研修のプログラム評価基準にする)
②個人で病院総合医領域のポートフォリオを作成して自分の足りないところを可視化する(資格取得後も生涯学習できる仕組み)
③スタッフの多様性を重視する(時短勤務・女性医師・アベンジャーズからの転向)
④病院総合医のスペシャルインタレストグループを作る(FDなど)
次回は最終回の予定です。
皆様のコメントを参考にしたいので、ご意見を頂けると幸いです。