南砺の病院家庭医が勉強記録を始めました。

富山県にある総合病院で働く病院家庭医です。勉強の記録を少しずつ書いていきます。

【最終版】病院総合医研修に関するガイドライン (プロフェッショナルディベロップメント)

STFM Resource Library より

Hospital Medicine Curricular Guidelines or Track Recommendations for Family Medicine Residencies

SHM(Society of Hospital Medicine)とSTFM(Society of Teachers of Family Medicine)の合同タスクフォースで作成した家庭医療のレジデントのための病院でのトレーニングのガイドラインです。とりあえず、これをまるっと翻訳した方は国内にいない(google調べ)ようなので紹介します。日本における病院総合医(Hospitalist)の概念は曖昧で、教育で有名な病院の総合内科部門であったり、地域を支える小規模病院(コミュニティホスピタル)でオールラウンドに働く医師を指す方もいます。米国とは医療事情は異なりますが、日本版ホスピタリストになるにはどんなトレーニングを積めばいいのかという点で参考になるのではないかと思います。(筆者の勤務する病院も小規模なコミュニティホスピタルとして病院総合医を育成するプログラムを作っていかねばならないと考えています。下記のガイドラインを参考にしつつ日本版ホスピタリストに必要なものを考えていければと思います。)

1.はじめに

 米国の2011年の調査では家庭医療レジデントの9.2%が研修終了後に直接ホスピタリストになります。2016年のSHMのデータでも家庭医療の訓練をうけたホスピタリストは10%程度います。実は64.9%の病院は独自の認定基準での病院家庭医を登録しているそうです。なぜなら残念なことに家庭医療のトレーニングを受けたホスピタリストは雇用差別を受けており、病院での追加研修がない家庭医は拒否されているというデータがあります。その理由の一つに入院患者のトレーニング経験が合ってないことがあるようです。家庭医療プログラムの中で必要とされる入院診療のトレーニングはプログラムによって異なり、一貫性のない集中治療と入院診療の処置トレーニングをもたらしてしまうかもしれません。(訳者の感想:つまり、家庭医療のプログラムを終えたとしても病院で即戦力にはならない可能性があり、病院での研修をちゃんと積んでいないといけない。)

table1はACGMEが推奨する入院患者(成人患者、ICU、ER、小児、外科患者)の経験時間です。

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ACGMEの推奨する家庭医が入院患者を診るべき期間

(訳者の感想)ざっくり言うと、病棟6か月で600時間かつ750症例入院患者を診て、ICUを1か月で100時間あるいは15症例診て、救急2か月で200時間あるいは成人250症例、小児患者は250症例診て、外科症例を1か月100時間経験すればよいという事になります。入院患者数750例を6か月というのはかなり大変な印象ですが…これはチームで診ているからでしょうか。主治医制で入院から退院までの一連の流れを経験するとこの数にはならないと思われます。

 

家庭医療レジデンシーのための病院医療のカリキュラムガイドラインを作ることで、家庭医療レジデントの病院診療の質の担保を試みたわけです。 

  1. The Clinical Conditions sectionはできなければならない診断と治療
  2. Procedural Training sectionはスキルのところ
  3. The Healthcare Systems sectionは入院患者のケアに特有な知識、技術、態度
  4. Career planningとmentoring sectionはプログラムがホスピタリストを雇う上でどんなサポートをすべきかが紹介されています。

この評価のために開発された画期的な手法がEntrustable Professional Activities(EPA)です。これは病院で働く家庭医に期待していることのようなものです。

家庭医療のマイルストーンの中には6つのAGCMEのコアコンピタンス(能力)を中心に構成されています。これは良い医者にはこの領域が求められているという事です。

  1. 患者のケア Patient Care(PC)
  2. 適切な医学知識 Medical Knowledge(MK)
  3. 自己研鑽、自己学習再診のエビデンスに基づく診療や教育の実践など Practice-Based Learning and Improvement(PBLI)
  4. 医療システムの社会的役割の認識、コスト意識をもった保健医療の実践など Systems-Based Practice(SBP)
  5. プロフェッショナリズム プロとしての責任感、態度、倫理感 Professionalism(PROF)
  6. 対人関係とコミュニケーションスキル Interpersonal and Commication Skills(C)

本カリキュラムの推奨事項は、EPAおよびACGMEのサブコンピテンシーと、マイルストーン(研修の節目となる到達目標を年2回報告するようACGMEが制度化したもの)にマッピングされます。

(訳者の解釈:家庭医療のコンピテンシーがあるけど、病院総合医のコンピテンシーとどこら辺が一致しているかわからないので病院総合医に必要なマイルストーンを作ってみた。その項目が具体的にどうやって評価したらいいのかはEPAを使って大体できているかどうか測定した。という理解です。)

 2.プログラムと枠組みの特徴

 入院患者数の上限はないが多すぎると、作業負荷の増加、会議への出席率、義務時間の違反や再入院率にも影響します。逆に少なすぎると、トリアージスキルや効率性の改善が図れません。そこで標準的なレベルの推奨を設けました。

3.病院診療の枠組み要素:臨床症状

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病院診療のコアコンピテンシー2017年版:①臨床症状

(訳者の感想)もっと広げてもいいと思います。コアとはいえ全然足りないです。それぞれにEPA設定するか症例のポイントをまとめたものを共有するといいのでしょうね。

4.病院診療の枠組み要素:手技

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家庭医療のレジデントに推奨される手技の経験。特に関節穿刺は全てのレジデントに期待されています。下線が引かれているPCATというのは、評価ツールです。

 

例えば

胸腔穿刺の評価

穿刺による採取の評価

中心静脈カテーテル穿刺術

動脈カニューレ挿入

気管挿管

腰椎穿刺

関節穿刺

をクリックすると資料が得られます。

これはそのまま訳したら使えそう。

 

5.病院診療の枠組み要素:ヘルスケアシステム (ここからが各論)

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病院診療のコアコンピテンシー:ヘルスケアシステム

訳者注:ここにもいくつか下線が引かれていますがリンクはありませんでした。残念。

ここにある20個のうち13個を一つ一つを紹介していく事になります。

①Drug safety, pharmacoeconomics and pharmacoepidemiology

薬の安全性、薬剤経済学、薬剤疫学

実はこの項目は家庭医療のマイルストーンでもACGMEでもまとめられていません。

知識、技術、態度領域では下記のようにまとめられます。

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薬に対しての知識、技術、態度
  • レジデントは薬剤経済学的な解釈、抗菌薬の使用の原則や、予防的投薬、治療薬選択において有効性、副作用、薬物動態やコストを評価するための知識が必要。
  • 技術領域では有害事象を減らすために発注と管理を行いコスト削減し、薬剤耐性を減らすために抗菌薬ガイドラインを適用し、個別に併存疾患や薬理動態に基づく薬物療法を選択し、外来患者のモニタリングやフォローアップをする技術が必要です。
  • 態度領域では、入退院時の正確な投薬管理の重要性を認識し、投薬情報を取得し、ケアの転移で次の医師に薬歴を伝達し、患者や家族への教育やリスクベネフィットの知識の統合や、個々の意思決定を行い、好ましい薬物療法を実践するための薬剤疫学や薬剤経済学の原理を適用できることです。

そして、先述されたEPAで具体的に到達目標を決定します。

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EPAの一覧

なんだか英語を貼り付けているだけになってきたので訳すと

1.EPA5 病気から早く回復させ、機能を改善させるケアを提供できる

2.EPA9 急性期の病気や怪我を診断し管理できる

3.EPA13 入院患者のケア、退院患者のマネジメント、ケアの移行が管理できる

4.EPA16 個人、家族、集団のケアにデータを最適化して活用できる

5.EPA17 患者さんと御家族の健康観とコンテキストにおいて、相互に健康を達成するための目標を設定し、健康を与える可能性が最も高いサービスを提供できる。

6.EPA18 患者、家族や地域社会のためにヘルスケアの目標を最適化し、格差を最小限にできる。

7.EPA19 多職種連携のヘルスケアチームでリーダーシップを提供できる。

薬剤経済的なものは2006年と2007年にパワーポイントで公開されています。

AHRQはCDを削減するためのツールを提供しています。

②Equitable allocation of resources

資源の公平な配分

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資源な公平な配分 知識・技術・態度
  • 知識領域は、公平性と費用対効果の概念の知識があること。意思決定分析や費用対効果分析、費用便益分析が区別できること。健康資源や不公平な配分の可能性がある患者集団を同定できる。費用対効果は医療政策と対立する可能性があります。
  • 技術領域は、病院への患者アクセスで保健制度を把握し、エビデンスに基づいた付加価値の高いケアを実践する能力があります。
  • 文化や言語に関わらず、全ての患者にサービスを受ける必要があるという姿勢を維持する必要があります。学術的なチームに参加しコスト削減や公平なアクセスと、エビデンスに基づく費用対効果の高いケアを提供する態度が必要です。

EPA16: 個人、家族、集団のケアにデータを最適化して活用できる

EPA17 患者さんと御家族の健康観とコンテキストにおいて、相互に健康を達成するための目標を設定し、健康を与える可能性が最も高いサービスを提供できる。

EPA18 患者、家族や地域社会のためにヘルスケアの目標を最適化し、格差を最小限にできる。

EPA19 多職種連携のヘルスケアチームでリーダーシップを提供できる。

 

③Leadership リーダーシップ

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リーダーシップの知識、技術、態度
  • メンターとメンティーの関係の発展を促進し、経営とリーダーシップの違いを認識し続けられるような効果的な指導者になる方法を知っています。
  • 技術領域は医学生や同僚だけでなく、多職種で入院患者のチームに効果的にリードし、メンターの役割を務める。説明責任を実証する行為の改善の結果、問題解決や紛争解決、学位取得の目標を達成できます。
  • 態度領域は、積極的に専門的な指導を求めて意欲的にリードする姿勢が必要です。

EPAは19 多職種連携のヘルスケアチームでリーダーシップを提供できる。のみ

AAFPには特にチーフレジデント向けのリーダーシップ体験を提供しています。

 

④Management practices マネジメント 

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マネジメントの知識、技術、態度
  • コスト意識の高い入院診療ができる。医師の報酬やインセンティブが疾病コーディングによっても異なることを知っている。
  • 技術領域はコスト意識の高い入院診療ができる事や、入院患者の医療費と平均在院日数を把握することができます。(CPTコードやRUVsに注意)
  • 態度領域は業務の観点でルーチンの批判的分析を行うだけでなく、多職種の入院患者チームを管理する態度が必要です。

EPAは

EPA13 入院患者のケア、退院患者のマネジメント、ケアの移行が管理できる

EPA16 個人、家族、集団のケアにデータを最適化して活用できる

EPA17 患者さんと御家族の健康観とコンテキストにおいて、相互に健康を達成するための目標を設定し、健康を与える可能性が最も高いサービスを提供できる。

EPA18 患者、家族や地域社会のためにヘルスケアの目標を最適化し、格差を最小限にできる。

 

⑤Medical consultation and co-management 

医療コンサルテーションと協同マネジメント

 ホスピタリストは他科へコンサルテーションで患者のケアについて意見や推奨を提示することが求められます。効果的かつ頻繁なコミュニケーションをすることで安全と品質の保証をします。ACGMEの家庭医療研修は「他医師や多職種の相談役である」ことを求めています。

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コンサルテーションと協同に関する 知識、技術、態度
  • ホスピタリストのコンサルタントの役割を定義し、効果的なコンサルテーションを提供するための知識

  • 主観的、あるいは客観的情報を組み合わせることで相談者に簡潔かつ具体的な提案を行う技術
  • 相談には迅速に対応し、担当医との間で役割を決定し、潜在的な合併症やそれを回避する手段を教え、そして適切に介入されているかを頻繁にフォローアップする態度

が必要です。

実際のEPAでは(結構多いですが)

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コンサルテーションのEPA

EPA2 様々な状況で患者や家族のためにケアができる

EPA5 病気から早く回復させ、機能を改善させるケアを提供できる

EPA6 分類できない症状や複雑な状態を評価しマネジメントできる

EPA7 慢性疾患と多疾患併存を診断し管理できる

EPA8 メンタルヘルスの問題を診断し管理できる
EPA9 急性期の病気や怪我を診断し管理できる

EPA10 外来あるいは入院の状況で共通の手技が実施できる

EPA12 終末期と緩和ケアの対応ができる

EPA13 入院患者のケア、退院患者のマネジメント、ケアの移行がマネジメントできる

EPA14 救急症例の対応ができる
EPA16 個人、家族、集団のケアにデータを最適化して活用できる
EPA17 患者さんと御家族の健康観とコンテキストにおいて、相互に健康を達成するための目標を設定し、健康を与える可能性が最も高いサービスを提供できる。
EPA18 患者、家族や地域社会のためにヘルスケアの目標を最適化し、格差を最小限にできる。

EPA19 多職種連携のヘルスケアチームでリーダーシップを提供できる。

EPA20 患者の求める状況に応じて、個別性の高い適切なコンサルテーションとケアを提供できる。

他のリソースとしてはSHMのラーニングポータルサイトに資料があります。

 

このEPAの数からも、コンサルテーションの能力を測定するには多くの評価軸が必要なのだという事が分かります。

⑥Nutrition and the hospitalized patient

入院患者の栄養管理 

 栄養失調は罹患率、死亡率、再入院、医療費の増大との関係があります。入院患者の50%が入院時に栄養失調があり、他にも栄養失調になりやすいというデータもあります。入院患者において栄養不良への迅速な認識が必要です。

 さて、栄養管理の能力を、知識、技術、態度に分けると

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入院患者の栄養管理の知識、技術、態度
  • 入院患者の栄養不良をスクリーニングし、適切なモニタリングとリフィーディング症候群に関する電解質異常の対応、他の特殊な補助栄養だけでなく経腸栄養や非経口栄養の適応と禁忌を理解するための知識
  • 栄養不良患者を同定し、重症度を評価し、適切な経腸栄養および非経口栄養サポートと、リフィーディング症候群に伴う電解質異常の発見と補正を管理栄養士と行う技術
  • 早期からの栄養不良の重要性を認識し、退院時の患者に必要栄養量を調整する学術的なアプローチをする態度

が必要です。

 EPAは以下の7項目です。

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栄養管理に関するEPA

EPA1 全世代の人々のために、包括的で継続的な医療資源を提供できる

EPA2 様々な状況で患者や家族のためにケアができる

EPA5 病気から早く回復させ、機能を改善させるケアを提供できる

EPA13 入院患者のケア、退院患者のマネジメント、ケアの移行がマネジメントできる
EPA16 個人、家族、集団のケアにデータを最適化して活用できる

EPA19 多職種連携のヘルスケアチームでリーダーシップを提供できる。

EPA20 患者の求める状況に応じて、個別性の高い適切なコンサルテーションとケアを提供できる。

その他のリソースは

SHMの栄養の生涯学習コンテンツ

Nutrition in Medicine - Online Medical Nutrition Education

があります。(いずれもオンライン学習できました)

 

⑦Palliative care 緩和ケア

入院中であればレジデントは重症な患者にも共感的に接することができます。ホスピタリストは緩和ケアサービスを提供する最適な立場であり、進行性疾患の包括的な治療と関連症状の軽減がしやすいです。主な役割は緩和ケアで何が必要かを同定することや、ACPの議論を導くことや、痛み、吐き気、不安、うつ、せん妄のなどの身体症状を特定し、継続的な治療からケアの目標や家族のサポートをホスピスまたは地域のサービスに移行させることです。

 

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緩和ケアの知識、技術、態度
  • 同僚・専門家・研修医・家族や患者に緩和ケアの定義と患者のケアの目的を説明するための知識。緩和ケアは治療とは独立して提供できることや、死の間際でも提供することができるという知識。心肺蘇生や人工栄養の有用性に関する知識。治療を拒否する権利や法律上の注意事項、事前指示や、代理意思決定、意思決定能力についての知識。
  • 痛みや嘔気、嘔吐、不安、うつ、せん妄などの治療をする技術。患者と家族の心理社会および精神的サポートを提供する技術。ACPやコード、ケアのゴールや予後などのBad News Tellingを提供する技術。
  • 緩和ケアは病気のいかなるステージにおいても適切であるという認識をする態度と、関係性を気づくために共感的コミュニケーションをする態度。患者のケアに対する好みに影響する可能性あるため社会的、文化的、精神的に探究する態度。

であり

EPAでは

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緩和ケアのEPA

EPA2 様々な状況で患者や家族のためにケアができる

EPA6 分類できない症状や複雑な状態を評価しマネジメントできる

EPA7 慢性疾患と多疾患併存を診断し管理できる
EPA9 急性期の病気や怪我を診断し管理できる

EPA12 終末期と緩和ケアの対応ができる

EPA13 入院患者のケア、退院患者のマネジメント、ケアの移行がマネジメントできる

EPA14 救急症例の対応ができる

EPA15 患者と家族、地域との信頼関係と持続的なパートナーシップを開発できる

EPA18 患者、家族や地域社会のためにヘルスケアの目標を最適化し、格差を最小限にできる。

EPA19 多職種連携のヘルスケアチームでリーダーシップを提供できる。

EPA20 患者の求める状況に応じて、個別性の高い適切なコンサルテーションとケアを提供できる。

 

教育リソースは

Karnofsky index

ECOG (Eastern Cooperative Oncology Group)Scle

PPS (Palliative Prognostic Score)

Advance Care Planning resourcesであるPOLSTMOLST

が用意されています。

 

⑧Patient handoff

患者の引継ぎ

効果的な引継ぎは患者の安全なケアのために必要であり、医療過誤や有害事象の回避のためにも重要です。

 

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患者の引継ぎの知識、技術、態度
  • 質の高い引継ぎのための要約のポイントの知識。引継ぎは時として多職種も家族や患者とも行う事になりますが、効果的な引継ぎの障壁とその回避方法の知識。
  • 効果的なコミュニケーション技術。リードバック技術(復唱など?)で患者の要約を作成し、薬剤や重要なタスクを確認する技術。最近の臨床の情報を要約し重症患者を同定する技術。申し送りを最適化するプロトコルにも参画する技術。
  • 患者の安全や重要性を認識し、優先順位を考える態度。プロとしてリアルタイムに対話をする態度。

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患者の引継ぎのEPA

EPA1 全世代の人々のために、包括的で継続的な医療資源を提供できる

EPA2 様々な状況で患者や家族のためにケアができる

EPA6 分類できない症状や複雑な状態を評価しマネジメントできる

EPA7 慢性疾患と多疾患併存を診断し管理できる
EPA9 急性期の病気や怪我を診断し管理できる

EPA13 入院患者のケア、退院患者のマネジメント、ケアの移行がマネジメントできる

EPA14 救急症例の対応ができる

EPA15 患者と家族、地域との信頼関係と持続的なパートナーシップを開発できる

EPA16 個人、家族、集団のケアにデータを最適化して活用できる

EPA19 多職種連携のヘルスケアチームでリーダーシップを提供できる。

EPA20 患者の求める状況に応じて、個別性の高い適切なコンサルテーションとケアを提供できる。

 

教育リソースは

Hand-off Toolkit (引継ぎチェックリスト)

 I-PASS

が紹介されていました。

(これを一つ一つ紹介するだけでも勉強になりそうです。)

 

⑨Patient safety 患者の安全性

医療ミスは米国における死因の第3位です。特に入院中は医療ミスで死亡されるリスクが高いです。こういった有害事象を予防し改善するために、ホスピタリストは病院、ヘルスケアシステムの中であらゆる努力をすることが責務であります。

 

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患者の安全性 知識・技術・態度
  • 人的要因、プロセスやシステム障害、高度な機能のチームの役割を含めて患者安全の知識をもつ。前向き評価と後ろ向き評価の両方によるエラーによって起きた害のスペクトルを認識する。Root Cause Analysys(根本原因解析)などのツールを使用するシステマティックレビューを報告するだけでなく、促進する文化の必要性を理解する。
  • 害を防ぐために開発されたプロトコルに従うだけでなく、ガイドラインに準拠した学際的チームでのケアの指針に基づくパスを作る技術。個人やシステムの改善のためには、データを継続的に使用にしたり継続的に評価することで、安全の推進や害を避けることができます。
  • 自主的で継続的な安全を追及する態度。バーンアウトのような職場のリスク要因に対処するだけでなく、有害事象に対する懲罰的でない対応を推進する職場文化の促進を含めたエラーの特定および報告の態度。確立された安全医療をさらに強化し予防可能な害を減らすための新しいプロセスを開発するチームで貢献するだけでなく、そのプロセスを遂行する態度。

が必要です。

EPAでは

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患者の安全 EPA

EPA2 様々な状況で患者や家族のためにケアができる

EPA4 健康を改善し、病気や怪我のリスクファクターを是正し、治療可能な早期に病気を発見する予防的ケアを提供する

EPA9 急性期の病気や怪我を診断し管理できる

EPA13 入院患者のケア、退院患者のマネジメント、ケアの移行がマネジメントできる

EPA19 多職種連携のヘルスケアチームでリーダーシップを提供できる。

追加資料は、The Institute for Healthcare Improvement (IHI)の資料が動画も豊富で勉強になりました。

⑩Prevention of healthcare-associated infections and  antimicrobial resistance 院内感染症の予防と抗菌薬耐性

外来環境で家庭医が抗生物質の管理に責任を担っているのと同じように、家庭医療のトレーニングを受けたホスピタリストは、病院での院内感染の予防を任されています。院内感染は入院期間の延長につながることが多く、毎年多くの費用が掛かっています。ホスピタリストは他の医療スタッフと協力して、院内感染を減らし、予防のためのしくみを開発し、エビデンスに基づく感染防止対策を推進し実行するべきです。

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院内感染の予防と抗菌薬耐性 知識・技術・態度
  • 隔離による予防策を理解し、一般的な医療関連感染とその危険因子を知り、経験的な抗生物質を選択するために病院のアンチバイオグラムを使用する知識があ
    る。
  • 指定された感染管理を一貫して遂行し、手技中の手指衛生などの予防技術がある。ハイリスク感染症患者の隔離予防策を計画する技術がある。抗生物質や感染管理責任者を活用することができる。
  • 院内感染の原因となる手技を避ける。感染の可能性が高いデバイスがあれば取り外し、利用可能な代替手段が安全で効果的であればそれに取り換える。感染管理プロトコルを計画・実施・研究する集学的チームを導き、調整し、参画する態度がある。

となっています。

EPAは2つだけです。

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院内感染 EPA

EPA4 健康を改善し、病気や怪我のリスクファクターを是正し、治療可能な早期に病気を発見する予防的ケアを提供する

EPA16 個人、家族、集団のケアにデータを最適化して活用できる

追加資料はCenters for Disease Controlの評価ツールキットAHRQの感染コントロールの取り組みをリンクしておきます。

⑪Quality improvement 質の改善

QIはヘルスケアシステムやその制度の中で仕事をしているホスピタリストの必須の能力です。

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質の改善 知識技術態度
  • アウトカム尺度に基づいたガイドラインやプロトコルの知識がある。同様にこれらのアウトカム尺度の施設内報告や、医療の施設内変動や品質のギャップの潜在的な寄与因子があることを認識する。組織の文化と信頼性、集学的なチームワーク、最高品質のパフォーマンスを確保するためのツールとプロトコルの役割を示すことができる。
  • ケアのばらつきを減らし、患者の安全性と満足度を高め、非効率性と不公平さに対処することを目的とした継続的で集学的な質改善の取り組みに対して、エビデンスに基づくツールを用いたデータの収集と適応の技術が必要。
  • 質改善に由来したプロトコルと実際の使用をモデル化し、エビデンスに基づいた戦略とホスピタリストの役割を網羅する態度が必要です。施設レベルまたはそれを超えた学術的なQIの継続的な参加またはリーダーシップが期待されます。

 

EPAは

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質の改善 EPA

EPA2 様々な状況で患者や家族のためにケアができる
EPA9 急性期の病気や怪我を診断し管理できる

EPA13 入院患者のケア、退院患者のマネジメント、ケアの移行がマネジメントできる
EPA16 個人、家族、集団のケアにデータを最適化して活用できる
EPA17 患者さんと御家族の健康観とコンテキストにおいて、相互に健康を達成するための目標を設定し、健康を与える可能性が最も高いサービスを提供できる。
EPA18 患者、家族や地域社会のためにヘルスケアの目標を最適化し、格差を最小限にできる。

EPA19 多職種連携のヘルスケアチームでリーダーシップを提供できる。

追加資料 質の改善について Society of Hospital Medicine’s Center のサイトが実際のQIの取り組みの例があり非常に有用です。これだけでも紹介に値する素晴らしいページです。

脱線しますと

例えばケアの移行のところをみると、The PArTNER model guide の紹介をされています。Patient navigatorとPeer coachの介入でスムーズな退院ができるというわけです。

あるいはうっ血性心不全では、SHMのCHFガイドが紹介されています。(登録制)

資料が豊富で参考になります。

 

⑫Team approach and multidisciplinary care  

チームアプローチと多職種ケア

多職種ケアとは、各患者に最適なケアプランを作るためにヘルスケアシステムの様々なメンバー間の積極的なコラボレーションのことをいいます。チームメンバーも患者も同じ病院にいるため、病院という環境は多職種ケアに非常に適しています。

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チームアプローチの知識技術態度
  • チームワークの主要な要素を理解して説明ができる。効果的なチームでのやり取りをする中で大きな障壁を列挙できる。多職種チームの構造と機能に影響を与える可能性のある組織内の側面を説明できる知識がある。
  • 技術領域は、効果的なチーム構成の決定ができる。グループの動的スキルが実演できる。評価や推奨を統合できる。効率的で効果的なチームラウンドの実施ができる。
  • 態度領域は、積極的に傾聴することができる。チームに参加する。頻繁なコミュニケーションをとる。多職種チームのすべてのメンバーと意思決定を共有できる。プロフェッショナル間のコンフリクトを解決し、相互のリスペクトを生み出す。

EPAはひとつだけ

EPA19 多職種連携のヘルスケアチームでリーダーシップを提供できる。

資料はHow-to Guide Multidisciplinary Roundsというものがあります。(登録制)

 

⑬Transitions of care ケアの移行

  • ケアの移行とは、病院への入院、転院、サービスへの移行、ICUへの転科、自宅退院、リハビリ、ナーシングセンターに患者が移ることです。これらの移行が安全かつ効果的に行われるようにするために必要です。

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ケアの移行 知識技術態度
  • 患者の安全を確保し、継続的なケアを維持するために、各ケア以降の間に伝達される関連する情報を定義できるような十分な知識ある。患者の移行を容易にするために利用できる補助サービスについて説明できる。
  • ケアの転移に最も効率的で信頼性が高く腎俗なコミュニケーション方法を選択し利用する能力が必要。コミュニケーションをシンプルにすることができる。紹介委から受け取った情報を含むケアプランを想起に策定することができる。
  • 患者の転帰と満足感に対するケアの転移の影響を認識することと、ケアの転移に対する多職種アプローチの大切さを認識すること、患者と家族のためにケアの転移の準備をし、他の医師とリアルタイムに対話をする態度が必要です。

EPAは

EPA13 入院患者のケア、退院患者のマネジメント、ケアの移行がマネジメントできる

のみです。

資料は

AHRQ’s toolkit for improving care transitions

71ページにわたる重厚なケアの移行に関する資料です。チェックリストやフローチャートとその使い方などが記載されています。

The Joint Commission’s Transitions of Care Portalというものがあります。

Podcastもあり、聞いているだけでも面白いです。

 

6.Professional Developmentとは?

はじめに

家庭医のホスピタリスト研修に関するSHMとAAFPの共同声明で強調されているように、家庭医療のレジデントはプログラムが厳格で包括的であることにより、多くの卒業生が十分なホスピタリストの訓練を受け、高いレベルのケアを提供できる自信を得ることができます。家庭医療のトレーニングを受けたレジデントは、優れたホスピタリストのケアが提供できるようになり、ホスピタリストの技術や知識が何故重要なのかを理解し証明できています。ホスピタリスト研修を受けた家庭医の利点を説明できることにも役立ちます。修了生は個人的、組織的、学術的ニーズに合わせて調整できる体系化されたメンターシッププログラムから恩恵を受けています。メンターシップは評価やフィードバックの対象ではなく、理想的にはレジデントプログラムの他の機能からも完全に切り離されています。病院医療の準備をすることは外来診療のための準備とは異なるため、研修プログラムは入院患者の設定で住民を支援する能力を持つべきです。

このセクションでは、就職活動、メンターの発見、キャリアのネットワーク化、およびさらなる進歩に関する研修プログラムとレジデントの両方に関するガイダンスと推奨事項について取り上げます。関連する専門家会議や出版物のリストも含まれています。

Finding a jobとは?

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 家庭医療プログラムの病院研修では、卒業後に病院で仕事ができるように下記のようにサポートすべきです。

  •  レジデントは履歴書curricula vitarum(CV)と推薦書(カバーレター)を書くトレーニングを提供する必要があります。契約交渉や医療過誤保険など。
  • レジデントはCVとカバーレターを書いた経験がある教員を1人以上決める必要があります。
  • プログラムでは業務管理や医療過誤保険の保証をすべきです。
  • 研修プログラムは情報に基づいた補償交渉をするためにMGMA(Medical Group Management Association)のデータをシェアすることができます。

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家庭医療のレジデントが病院研修をするプログラムは病院でのキャリアのために専門的に準備されていて、それを支援するために、指導者を活用することが期待されています。

  • レジデントがCVを書いて定期的に更新して、維持することが不可欠です。彼らは学術雇用と非学術的で使用されるCVの種類やフォーマットの違いの理解を示す必要があります。
  • レジデントは病院での医療を実践するために、同僚や教員と病院医療についてディスカッションするべきです。
  • レジデントは入院や救急の目標に関連して追加選択科目のローテーションのための機会を提供すべきです。
  • レジデントは医師や病院の中で区別すべきです。例えば、病院のタイプや提供するサービス、患者集団、雇用や採用を担当するリーダーがいるか。雇用機会についての問い合わせなど。
  • レジデントは教育や求人のためのWebリソースを使用できる。
  • 自身の技術や知識を希望病院またはグループ診療に売り込むだけでなく、希望する仕事には継続性が必要であることを理解するべきです。特にレジデントはスキルを維持する必要があり、家庭医療訓練を受けたホスピタリストとしてではなく、内科+αとして雇うべき理由を提示する権限を与えられます。
  • レジデントはABFM/ABIMが提供する病院で集中的に研修するために準備をするよう推奨されます。
  • レジデントは病院総合医の入院患者において質の改善(QI)プロジェクトを実行するよう期待されるべきです。 

Finding a mentorとは?

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家庭医療の病院研修プログラムでは彼らのための指導の機会を提供する必要があります。

  • 指導医が誰もいない場合は、メンターシッププログラムを検討すべきです。
  • 研修プログラムは病院医療を実践する医師を含めてメンターを確保する必要があります。
  • レジデントが容易に適切な指導者を識別できるように専門分野のリストがあるはずです。
  • トレーニングプログラムではプログラムの内外にメンターを持っているレジデントを奨励すべきです。
  • レジデントは必要によって複数のメンターを持つべきではなく、一人だけメンターを決める必要があります。
  • プログラムはレジデントの興味の変化や追加的なメンターが必要な場合、メンターを変更できるようにする必要があります。

f:id:MOura:20190712012755j:plain病院家庭医のトレーニングのトレーニングプログラムのレジデントは病院総合医のメンターを用意するべきです。

  • メンターを考慮すると、レジデントは研修プログラム内で研修の一部またはすべてを教えてもらう病院総合医のメンターを探す必要があります。これが不可能な場合hあ、レジデントは研修プログラムの一部ではない病院のメンターを見つける必要があります。
  • レジデントは教育に関心があり、親しみがあり、提唱者となるメンターを探すべきです。
  • レジデントがメンターになることを依頼する場合、期待するものを明確にする必要があります。例えば助言を与えたり、卒業後の仕事を助けたり、レジデントが欲するものを提示したり、少なくとも年2回、定期的にメンターと会う事が必要です。

Career networkingとは?

f:id:MOura:20190712012808j:plainレジデントには研修病院の分野内のネットワークと専門能力開発の機会を与えるべきです。これらの機会は国単位のホスピタリストのミーティングだけでなく、地域や地方の病院への参加も含まれる必要があります。

  • プログラムはレジデントの参加を主張するべきです。地域、州、国家のミーティングでの出席を許可すべきです。研修病院や診療所も推奨すべきです。
病院研修プログラムの家庭医レジデントは病院、地域や国レベルでのリーダーシップ開発を発揮することが期待されます。病院総合医は地域社会と院内の品質の変化のリーダーのように定義されるようになったため、病院の医療のキャリアに興味をもって育成するため努力する必要があります。
  • 部分的には、レジデントは病院総合医の関係を発達すべきで、奨学金や顧問を求めるべきです。レジデントは職場で病院総合医を知ってもらう必要があります。また、奨学金活動や研究、病院診療、QIを行うべきです。委員会の中でも役に立ちます。
  • 地域的には関連する専門学会に参加する事を期待されています。地元のSHMやAAFPも含みます。
  • 全国的にはHMX(SHMのためのオンラインフォーム)とAAFPメンターインタレストグループ(MIG)などのオンラインコミュニティーに参加すべきです。同時に国内のミーティングにも参加すべきです、2年目の出席は特に求められます

Useful meetingsとは?

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SHMの年次総会

  • 春、通常は4月開催
  • 初期キャリアのアドバイスを相談する年次の枠組み
  • 地方のSHMのミーティングを探します。

PHM

  • 7月に開催
  • 小児科または乳幼児のケアを提供するため小児ホスピタリストに焦点をあてたもの
  • 仲間との初期キャリアの病院総合医を目的としたワークショップ

ACP内科ミーティング

  • 4月に開催
  • 30件以上の専門病院
  • キャリア、プロフェッショナリズムのトピック

AAFPのFMX(Family medicine meeting)

  • 9月か10月に開催
  • 病院総合診療のトピックや特別な議論を含めます。
  • 病院医学インタレストグループの年次総会と同様にMIG活動があります。

地域の病院のミーティング(様々なスポンサー)

  • Midwest Hospital Medicine Conference (10月) midwesthospitalmedicine.com
  • Southern Hospital Medicine Conference (10月): southernhospitalmedicine.org
  • Rocky Mountain Hospital Medicine Symposium (10月/11月): thececonsultants.com/hospitalmedicine.html
  • Mid-Atlantic Hospital Medicine Symposium (10月): icahn.mssm.edu/education/cme/courses
  • Management of the Hospitalized Patient (カリフォルニア州、サンフランシス大学, 8-10月): ucsfcme.com

Further Training/Fellowship について

卒業生の多くは病院で仕事をするが、終了後にフェローシップを受けられます。多様であり、リーダーシップ研修や品質向上の研修、教員の開発などがあります。

Is a hospital medicine fellowship right for you?

ACP Hospitalist; Hospitalist fellowships offer clinical, research, or leadership training

 Journal of Hospital Medicine

Today's Hospitalist

The Hospitalist

 

全訳してみて足りないところは

・経験すべき症例、手技の詳細は不明

・病院総合医のコアコンピテンシー20個(のうち7項目)

であり、米国のイメージが付きました。

日本版ホスピタリストに何が必要なのかを現場から発信していければいいなと思っています。

 

ゆっくりとした原稿作成ペースですが、たまに閲覧していただけると嬉しいです。

今後もよろしくお願いします。