STFM Resource Library より
Hospital Medicine Curricular Guidelines or Track Recommendations for Family Medicine Residencies
SHM(Society of Hospital Medicine)とSTFM(Society of Teachers of Family Medicine)の合同タスクフォースで作成した家庭医療のレジデントのための病院でのトレーニングのガイドラインです。とりあえず、これをまるっと翻訳した方は国内にいないようなので(google調べ)紹介します。
前回の記事はこちらです。
今回は 病院総合医研修に関するガイドラインについて(その2 各論の続き)
Medical consultation and co-management コンサルテーション
Nutrition and the hospitalized patient 栄養管理
Palliative care 緩和ケア
Patient handoff 患者の引継ぎ
まで紹介します。
前回の記事では訳していない知識・態度・技術の項目と、実践的なEPAが紹介されていますので、病院総合診療研修の参考になれば幸いです。
Medical consultation and co-management
医療コンサルテーションと協同マネジメント
ホスピタリストは他科へコンサルテーションで患者のケアについて意見や推奨を提示することが求められます。効果的かつ頻繁なコミュニケーションをすることで安全と品質の保証をします。ACGMEの家庭医療研修は「他医師や多職種の相談役である」ことを求めています。
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ホスピタリストのコンサルタントの役割を定義し、効果的なコンサルテーションを提供するための知識
- 主観的、あるいは客観的情報を組み合わせることで相談者に簡潔かつ具体的な提案を行う技術
- 相談には迅速に対応し、担当医との間で役割を決定し、潜在的な合併症やそれを回避する手段を教え、そして適切に介入されているかを頻繁にフォローアップする態度
が必要です。
実際のEPAでは(結構多いですが)
EPA2 様々な状況で患者や家族のためにケアができる
EPA5 病気から早く回復させ、機能を改善させるケアを提供できる
EPA6 分類できない症状や複雑な状態を評価しマネジメントできる
EPA7 慢性疾患と多疾患併存を診断し管理できる
EPA8 メンタルヘルスの問題を診断し管理できる
EPA9 急性期の病気や怪我を診断し管理できる
EPA10 外来あるいは入院の状況で共通の手技が実施できる
EPA12 終末期と緩和ケアの対応ができる
EPA13 入院患者のケア、退院患者のマネジメント、ケアの移行がマネジメントできる
EPA14 救急症例の対応ができる
EPA16 個人、家族、集団のケアにデータを最適化して活用できる
EPA17 患者さんと御家族の健康観とコンテキストにおいて、相互に健康を達成するための目標を設定し、健康を与える可能性が最も高いサービスを提供できる。
EPA18 患者、家族や地域社会のためにヘルスケアの目標を最適化し、格差を最小限にできる。
EPA19 多職種連携のヘルスケアチームでリーダーシップを提供できる。
EPA20 患者の求める状況に応じて、個別性の高い適切なコンサルテーションとケアを提供できる。
他のリソースとしてはSHMのラーニングポータルサイトに資料があります。
このEPAの数からも、コンサルテーションの能力を測定するには多くの評価軸が必要なのだという事が分かります。
Nutrition and the hospitalized patient
入院患者の栄養管理
栄養失調は罹患率、死亡率、再入院、医療費の増大との関係があります。入院患者の50%が入院時に栄養失調があり、他にも栄養失調になりやすいというデータもあります。入院患者において栄養不良への迅速な認識が必要です。
さて、栄養管理の能力を、知識、技術、態度に分けると
- 入院患者の栄養不良をスクリーニングし、適切なモニタリングとリフィーディング症候群に関する電解質異常の対応、他の特殊な補助栄養だけでなく経腸栄養や非経口栄養の適応と禁忌を理解するための知識
- 栄養不良患者を同定し、重症度を評価し、適切な経腸栄養および非経口栄養サポートと、リフィーディング症候群に伴う電解質異常の発見と補正を管理栄養士と行う技術
- 早期からの栄養不良の重要性を認識し、退院時の患者に必要栄養量を調整する学術的なアプローチをする態度
が必要です。
EPAは以下の7項目です。
EPA1 全世代の人々のために、包括的で継続的な医療資源を提供できる
EPA2 様々な状況で患者や家族のためにケアができる
EPA5 病気から早く回復させ、機能を改善させるケアを提供できる
EPA13 入院患者のケア、退院患者のマネジメント、ケアの移行がマネジメントできる
EPA16 個人、家族、集団のケアにデータを最適化して活用できる
EPA19 多職種連携のヘルスケアチームでリーダーシップを提供できる。
EPA20 患者の求める状況に応じて、個別性の高い適切なコンサルテーションとケアを提供できる。
その他のリソースは
Nutrition in Medicine - Online Medical Nutrition Education
があります。(いずれもオンライン学習できました)
Palliative care 緩和ケア
入院中であればレジデントは重症な患者にも共感的に接することができます。ホスピタリストは緩和ケアサービスを提供する最適な立場であり、進行性疾患の包括的な治療と関連症状の軽減がしやすいです。主な役割は緩和ケアで何が必要かを同定することや、ACPの議論を導くことや、痛み、吐き気、不安、うつ、せん妄のなどの身体症状を特定し、継続的な治療からケアの目標や家族のサポートをホスピスまたは地域のサービスに移行させることです。
- 同僚・専門家・研修医・家族や患者に緩和ケアの定義と患者のケアの目的を説明するための知識。緩和ケアは治療とは独立して提供できることや、死の間際でも提供することができるという知識。心肺蘇生や人工栄養の有用性に関する知識。治療を拒否する権利や法律上の注意事項、事前指示や、代理意思決定、意思決定能力についての知識。
- 痛みや嘔気、嘔吐、不安、うつ、せん妄などの治療をする技術。患者と家族の心理社会および精神的サポートを提供する技術。ACPやコード、ケアのゴールや予後などのBad News Tellingを提供する技術。
- 緩和ケアは病気のいかなるステージにおいても適切であるという認識をする態度と、関係性を気づくために共感的コミュニケーションをする態度。患者のケアに対する好みに影響する可能性あるため社会的、文化的、精神的に探究する態度。
であり
EPAでは
EPA2 様々な状況で患者や家族のためにケアができる
EPA6 分類できない症状や複雑な状態を評価しマネジメントできる
EPA7 慢性疾患と多疾患併存を診断し管理できる
EPA9 急性期の病気や怪我を診断し管理できる
EPA12 終末期と緩和ケアの対応ができる
EPA13 入院患者のケア、退院患者のマネジメント、ケアの移行がマネジメントできる
EPA14 救急症例の対応ができる
EPA15 患者と家族、地域との信頼関係と持続的なパートナーシップを開発できる
EPA18 患者、家族や地域社会のためにヘルスケアの目標を最適化し、格差を最小限にできる。
EPA19 多職種連携のヘルスケアチームでリーダーシップを提供できる。
EPA20 患者の求める状況に応じて、個別性の高い適切なコンサルテーションとケアを提供できる。
教育リソースは
ECOG (Eastern Cooperative Oncology Group)Scle
PPS (Palliative Prognostic Score)
Advance Care Planning resourcesであるPOLSTやMOLST
が用意されています。
Patient handoff
患者の引継ぎ
効果的な引継ぎは患者の安全なケアのために必要であり、医療過誤や有害事象の回避のためにも重要です。
- 質の高い引継ぎのための要約のポイントの知識。引継ぎは時として多職種も家族や患者とも行う事になりますが、効果的な引継ぎの障壁とその回避方法の知識。
- 効果的なコミュニケーション技術。リードバック技術(復唱など?)で患者の要約を作成し、薬剤や重要なタスクを確認する技術。最近の臨床の情報を要約し重症患者を同定する技術。申し送りを最適化するプロトコルにも参画する技術。
- 患者の安全や重要性を認識し、優先順位を考える態度。プロとしてリアルタイムに対話をする態度。
EPA1 全世代の人々のために、包括的で継続的な医療資源を提供できる
EPA2 様々な状況で患者や家族のためにケアができる
EPA6 分類できない症状や複雑な状態を評価しマネジメントできる
EPA7 慢性疾患と多疾患併存を診断し管理できる
EPA9 急性期の病気や怪我を診断し管理できる
EPA13 入院患者のケア、退院患者のマネジメント、ケアの移行がマネジメントできる
EPA14 救急症例の対応ができる
EPA15 患者と家族、地域との信頼関係と持続的なパートナーシップを開発できる
EPA16 個人、家族、集団のケアにデータを最適化して活用できる
EPA19 多職種連携のヘルスケアチームでリーダーシップを提供できる。
EPA20 患者の求める状況に応じて、個別性の高い適切なコンサルテーションとケアを提供できる。
教育リソースは
が紹介されていました。
(これを一つ一つ紹介するだけでも勉強になりそうです。)
今日はちょっと短いですが、のんびり勉強していきます。
お付き合いいただきありがとうございました。
予告編
病院総合医研修に関するガイドラインについて(その3 各論の続き)
Patient safety
Prevention of healthcare-associated infections and antimicrobial resistance
Quality improvement
Team approach and multidisciplinary care
Transitions of care
病院総合医研修に関するガイドラインについて(プロフェッショナルディベロップメントについて)
Professional Development
Finding a job
Finding a mentor
Career networking
Useful meetings
Further Training/Fellowship