STFM Resource Library より
Hospital Medicine Curricular Guidelines or Track Recommendations for Family Medicine Residencies
SHM(Society of Hospital Medicine)とSTFM(Society of Teachers of Family Medicine)の合同タスクフォースで作成した家庭医療のレジデントのための病院でのトレーニングのガイドラインです。とりあえず、これをまるっと翻訳してWebに載せている方は国内にいないようなので(google調べ)紹介します。
1.はじめに
米国の2011年の調査では家庭医療レジデントの9.2%が研修終了後に直接ホスピタリストになります。2016年のSHMのデータでも家庭医療の訓練をうけたホスピタリストは10%程度います。実は64.9%の病院は独自の認定基準での病院家庭医を登録しているそうです。なぜなら残念なことに家庭医療のトレーニングを受けたホスピタリストは雇用差別を受けており、病院での追加研修がない家庭医は拒否されているというデータがあります。その理由の一つに入院患者のトレーニング経験が合ってないことがあるようです。家庭医療プログラムの中で必要とされる入院診療のトレーニングはプログラムによって異なり、一貫性のない集中治療と入院診療の処置トレーニングをもたらしてしまうかもしれません。
table1はACGMEが推奨する入院患者(成人患者、ICU、ER、小児、外科患者)の経験時間です。
家庭医療レジデンシーのための病院医療のカリキュラムガイドラインや枠組みを作ることで、家庭医療レジデントの病院診療の質の担保を試みたわけです。
- The Clinical Conditions sectionはできなければならない診断と治療
- Procedural Training sectionはスキルのところ
- The Healthcare Systems sectionは入院患者のケアに特有な知識、技術、態度
- Career planningとmentoring sectionはプログラムがホスピタリストを雇う上でどんなサポートをすべきかが紹介されています。
評価のために開発されたのがEntrustable Professional Activities(EPA)です
これは一般的に家庭医に期待していることのようなものです。
家庭医療のマイルストーンの中には6つのAGCMEのコアコンピタンス(能力)を中心に構成されています。これは良い医者にはこの領域が求められているという事です。
- 患者のケア Patient Care(PC)
- 適切な医学知識 Medical Knowledge(MK)
- 自己研鑽、自己学習再診のエビデンスに基づく診療や教育の実践など Practice-Based Learning and Improvement(PBLI)
- 医療システムの社会的役割の認識、コスト意識をもった保健医療の実践など Systems-Based Practice(SBP)
- プロフェッショナリズム プロとしての責任感、態度、倫理感 Professionalism(PROF)
- 対人関係とコミュニケーションスキル Interpersonal and Commication Skills(C)
本カリキュラムの推奨事項は、EPAおよびACGMEのサブコンピテンシーと、マイルストーン(研修の節目となる到達目標を年2回報告するようACGMEが制度化したもの)にマッピングされます。
2.プログラムと枠組みの特徴
入院患者数の上限はないが多すぎると、作業負荷の増加、会議への出席率、義務時間の違反や再入院率にも影響します。逆に少なすぎると、トリアージスキルや効率性の改善が図れません。そこで標準的なレベルの推奨を設けました。
3.病院診療の枠組み要素:臨床症状
4.病院診療の枠組み要素:手技
家庭医療のレジデントに推奨される手技の経験
特に関節穿刺は全てのレジデントに期待されています。
下線が引かれているPCATというのは、評価ツールです。
例えば
をクリックすると資料が得られます。
5.病院診療の枠組み要素:ヘルスケアシステム
ここにもいくつか下線が引かれていますが、リンクはありませんでした。残念。
Drug safety, pharmacoeconomics and pharmacoepidemiology
薬の安全性、薬剤経済学、薬剤疫学の解釈が必要
知識、技術、態度領域では下記のようにまとめられます。
そして、先述されたEPAで具体的に到達目標を決定します。
なんだか英語を貼り付けているだけになってきたので訳すと
1.EPA5 病気から早く回復させ、機能を改善させるケアを提供できる
2.EPA9 急性期の病気や怪我を診断し管理できる
3.EPA13 入院患者のケア、退院患者のマネジメント、ケアの移行が管理できる
4.EPA16 個人、家族、集団のケアにデータを最適化して活用できる
5.EPA17 患者さんと御家族の健康観とコンテキストにおいて、相互に健康を達成するための目標を設定し、健康を与える可能性が最も高いサービスを提供できる。
6.EPA18 患者、家族や地域社会のためにヘルスケアの目標を最適化し、格差を最小限にできる。
7.EPA19 多職種連携のヘルスケアチームでリーダーシップを提供できる。
薬剤経済的なものは2006年と2007年にパワーポイントで公開されています。
Equitable allocation of resources
資源の公平な配分
EPA16: 個人、家族、集団のケアにデータを最適化して活用できる
EPA17 患者さんと御家族の健康観とコンテキストにおいて、相互に健康を達成するための目標を設定し、健康を与える可能性が最も高いサービスを提供できる。
EPA18 患者、家族や地域社会のためにヘルスケアの目標を最適化し、格差を最小限にできる。
EPA19 多職種連携のヘルスケアチームでリーダーシップを提供できる。
Leadership リーダーシップ
EPAは19 多職種連携のヘルスケアチームでリーダーシップを提供できる。のみ
AAFPには特にチーフレジデント向けのリーダーシップ体験を提供しています。
Management practices マネジメント
EPAは
EPA13 入院患者のケア、退院患者のマネジメント、ケアの移行が管理できる
EPA16 個人、家族、集団のケアにデータを最適化して活用できる
EPA17 患者さんと御家族の健康観とコンテキストにおいて、相互に健康を達成するための目標を設定し、健康を与える可能性が最も高いサービスを提供できる。
EPA18 患者、家族や地域社会のためにヘルスケアの目標を最適化し、格差を最小限にできる。
ここらへんで疲れてきました…(32ページのうちようやく15ページ)
後半はボチボチやっていきます。
予告編
病院総合医研修に関するガイドラインについて(その2 各論の続き)
Medical consultation and co-management
Nutrition and the hospitalized patient
Palliative care
Patient handoff
Patient safety
Prevention of healthcare-associated infections and antimicrobial resistance
Quality improvement
Team approach and multidisciplinary care
Transitions of care
病院総合医研修に関するガイドラインについて(プロフェッショナルディベロップメントについて)
Professional Development
Finding a job
Finding a mentor
Career networking
Useful meetings
Further Training/Fellowship